妻と元カレが運命的な再会をして……2

前回の話

妻とは結婚して14年経ちます。子供にも恵まれ、何一つ不満のない日々を送っていました。

彼女は、私なんかにはもったいないほどのよく出来た妻です。彫りが深く、ハーフによく間違えられるルックスは、40歳になった今も変わらずに美しいと思います。

そんな妻と、私が付き合えるようになったのは、元カレとの失恋に傷ついていた彼女に、私が優しくしたことでした。はなから、私などでは付き合うことなど不可能だと思っていた私は、下心なくただ慰めたいと思って接していたと思います。でも、いまだに本当にそうだったのだろうか? 私は、彼女の弱みにつけ込んだだけではなかったのだろうか? と、考えてしまうことがあります。


そんなある日、妻の様子が変わったことに気がついた私は、彼女のパソコンを調べるという陰湿な行為をしてしまいました。でも、結果として妻が元カレと奇跡的な再開をして、再来週の土曜日に実際に会うという事を知りました……。


土曜日が近づくにつれ、目に見えてご機嫌になる妻。そして、美しさにも磨きがかかっていく気がしました。それに引き換え、私は夜もなかなか眠れないようになっていきました。

そして、その日を明日に控えた金曜の夜、私は妻を抱こうとしました。ベッドで妻に抱きつき、キスをすると、妻は一瞬驚いた感じでしたが、すぐに抱きついて舌を絡めてくれました。そのまま妻の胸を揉み、脱がせようとすると、
『パパ、ゴメンね、生理始まっちゃったんだ……。お口でいい?』
と、妻が言いました。そして、私の返事も待たずに布団に潜り込むと、私のパジャマをパンツごと降ろして、ペニスを剥き出しにしました。

そして、そのまま私のモノをくわえると、慣れた動きで私のモノを口でしてくれました。妻は、昔から口でするのは上手でした。あまり考えないようにしていましたが、それは元カレが仕込んだと言うことなんだと思います。
その元カレに、妻は明日会う……。それは、私にとっては耐えがたいほどの辛いことでした。何もなければ良い……いや、仮に何かあったとしても、私の元にさえ戻ってきてくれればそれで良い……。そんな気持ちでした。

そして、私はいつも以上にあっけなく射精してしまいました。
『いっぱい出たねw』
妻は、嬉しそうに言いました。私は、妻が全部飲んでくれたことが嬉しかったです。
今まで、口に出したこと自体がなかったので、飲んでもらったことはありませんでした。なので、本当に嬉しかったのですが、同時に私は嫌な想像をしていました。本当に、生理なんだろうか? 明日、元カレと会うから、今日は私としたくなかったのではないか? そんな邪推をしてしまいます。

『ゴメンね、帰ったら、いっぱいしてね♡』
妻は、可愛らしい口調でそんな事を言います。私は、わかったと約束しながらも、不安で胸がいっぱいでした。

そして次の日、妻は小さなバッグに荷物を詰め込んで、大阪へ出発しました。ウソをつかれていることがわかっていながら、元カレと会うとわかっていながら、妻を止めずに送り出す私は、間違ったことをしているのかもしれません。

でも、私の中にある負い目みたいな感情は、こうでもしないと消えないのかも知れません。これで、何があったとしても、結果、妻が戻ってきてくれれば、その時初めて自信を持って、私は真希の夫だと言えるのだと思いました。

妻がいない子供達との3人での時間は、久しぶりと言うこともあり楽しいものでした。娘のリクエストで回転寿司に行ったり、家でテレビゲームをしたり、心の底から楽しい時間でした。

でも、ふとした時間に、今頃妻は……と、考えてしまいました。認めたくはないですが、二人は今頃一緒にすごしているはずですし、何もないわけがない……と、思いました。

そして、一人でベッドに入ると、悪い想像だけが際限なく広がっていきます。電話をしよう……。そんなことを考えながらも、出来ない私がいます。
本当は、止めるべきだとわかっていても、妻にとっての本当のパートナーは、その元カレなのでは? 妻にとっての本当の幸せは、その彼とでなければ得られないのではないか? そんな思いが頭をグルグル回ってしまいます。
私が、”俺が彼女を一番幸せに出来る!”と、自信を持てば良いだけなのですが、どうしてもそう思えませんでした。

私はまったく眠れず、酒に逃げました。そして、潰れるように眠りにつきました。
次の朝、子供達に起こされたときは、朝ではなくもう昼でした。
「パパ、酒臭い〜」
「お腹すいたよぉ!」
子供達が、妙にじゃれついてきます。久しぶりの3人での日曜日という事もあって浮かれているのか、それとも、何となく私の様子が変なことに気がついて、気を回してくれているのかはわかりませんが、家族は良いものだなと思いました。少し泣きそうになりましたが、なんとか持ちこたえ、お昼を食べに出かけることにしました。

近くのショッピングモールで昼食を食べ、そのまま書店で買い物をしたり、対戦型の車のゲームをしたりして楽しい時間を過ごしました。子供達とこんな風に遊ぶのも久しぶりだなと思いながらも、頭の中は妻のこと……元カレのことでいっぱいでした。はたして妻は、戻ってきてくれるのだろうか?

そんな気持ちのまま、夕方家に帰ると、すでに妻は帰ってきていました。私は、駆けよって抱きしめたい気持ちになりましたが、
「ママお帰り〜!」
「お土産は!?」
と、子供達の方が先に駆け寄りました。

『ただいま! ゴメンね、夕ご飯すぐ作っちゃうからね! はい、お土産w』
子供達に、満面の笑みでお土産を渡す妻。何一つ変わりがないように見えます。私は、心底ホッとしながら、
「お帰り。楽しかった?」
と、聞きました。
『うん! パパ、ありがとう!』
妻は、本当に良い笑顔でそう言うと、私に抱きついてキスをしてくれました。子供達の前で、妻がこんな事をするのはほとんど記憶が無いですが、私は腰が抜けそうなほどの安堵を得ました。

そして、楽しい4人での食事を終えて、風呂をすませてベッドに入ると、妻がまた抱きついてきてくれました。そして、驚くほど情熱的なキスをしてきます。
『パパ、この前はゴメンね。声我慢するから、いっぱいして♡』
妻は、今まで見たことがないくらいに可愛らしく、そして発情したような感じで言ってきました。私は、元カレの影を感じて一瞬胸が痛くなりましたが、元カレと、おそらくそういう関係を持った上で、それでもこうやって戻ってきてくれたことに心から感謝しながら妻を抱きました。

子供達がいるので、激しい動きも出来ませんし、声を抑えるためにほとんどキスをしたままだったこともあって、私は5分も持ちませんでした。それでも妻は、何度も何度も小さな声で、
『パパ、愛してる♡ ずっと一緒にいて』
と言う言葉を繰り返しました。
使用済みのコンドームを片付けながら、私は初めて真希と夫婦になれた気がしました。

そして、この日を境に妻は変わりました。今までも、何一つ不満のない完璧な妻だったのですが、より私に甘えるというか、べったりになりました。

そして数ヶ月が経ち、私の中で、やっとトラウマが消えたように思い始めていたある日、ほんの偶然から妻の秘密を見てしまいました。妻が入浴中に、無造作にダイニングテーブルに置かれていた彼女のiPhoneが、短く通知音を発しました。
何の気なしに画面を見ると、短い通知音だけがして、画面にはなにも通知されていませんでした。

私は、どうしても我慢出来ず、彼女のiPhoneを操作しました。でも、メールにもメッセージにもなにもありません。私は、画面上のアプリを見たり、フォルダの中のアプリを調べたりしました。すると、あのSNSの専用アプリがありました……。

私は、震える手でアプリを開くと、元カレからのメッセージでした。開いてしまうと、既読になると思ったので開けませんでしたが、メッセージの冒頭は表示されていました。”上げたよ〜これアドレスね!”というメッセージと、URLの一部が表示されていました。
そこで、風呂から出てくる気配を感じ、私はiPhoneを元に戻しました。

ここ数ヶ月が、圧倒的に幸福な時間だったので、私のダメージは凄いモノがありました。でも、必死でそれを表に出さないようにしました。


何があったのか? どうしてまだメッセージのやりとりをしているのか? 私は調べることにしました。と言っても、パスコードもなにもかかっていない妻のiPhoneですので、ただ見れば良いと言う状況です。

そして深夜、私は彼女のiPhoneを盗み見ました。あらかじめ調べて、既読うんぬんは心配しなくて良いとわかっていたので、大胆にメッセージを読み始めました。

それは、なんと言っていいのかわからないものでした。まずわかったのは、妻は私の元からはいなくならないと言うことでした。
でも、妻が本当に愛しているのは元カレでした……。もちろん、私のことも、子供達のことも愛しているということは間違いないようですが、一番愛しているのは元カレだと言うことでした。

それなのに、私の元からいなくならないのは、やはり今まで私と子供達と過ごしてきた年月が、彼女を思いとどまらせたからのようです。そして元カレも、私の妻である真希のこと一番愛しているとのことですが、同じように自分の家族を捨てることは出来ないという事のようでした。

それなので、お互いに家庭を守ったまま、たまに会うという選択をしたようです。そして、もうエッチもキスもするのは止めようということが約束されたようです。お互いに、相手を本当に大切に想っているのなら、そんな事はするべきではないと言うことのようですが、それならば会うことも、連絡を取ることも止めて欲しいと思いました。

そして、お互いに、将来もしも独りになることがあったら、結婚しよう……。そんな約束をしたようです。


私は、どうリアクションを取って良いのかわかりませんでした。感情の整理もつきません。裏切られたことは間違いないですが、結局二人は結ばれず、妻は私の元に残ります。でも、心は……。

そして、元カレがネットに上げたというデータは、クラウドストレージに上げられた動画でした。二人は再会後、数度身体を交わしたようです。でも、もうそれはしないと決めた……。なので、最後に、記念にその様子を動画に撮った……ということのようでした。

私は、そのアドレスを書き写すと、自分のノートパソコンで確認しました。そのデータは、ギガバイトクラスのデカいモノでしたので、一旦ダウンロードして、イヤフォンをして再生しました。


動画が再生されると、いきなりファミレスか何かの衣装みたいなモノを着た妻が映りました。
『ちょっとぉ〜、なんでこんな格好で撮るの?』
妻の口調は、もの凄く打ち解けたものでした。私としゃべるときよりもリラックスしたような、そんな感じさえします。

「いやいや、よく入ったね! スタイル変わらないんだw」
元カレが、同じく打ち解けた感じで言います。二人の会話は、本当に自然で力みがなく、夫婦のように感じてしまいました。
『そんな事ないよ。こことかキツキツだもんw』
そう言って、自分の胸を指さす妻。確かに、ボタンがなんとか留まっているような感じでした。
「そう言えば、デカくなったよね。母乳で育てたから?」
『そうかもw 悠一さんの奥さんは?』
妻が、からかうような口調で言います。
「ウチも母乳だよ。でも、そんなにオッパイ大きくならなかった気がする」
微妙に言いづらそうな元カレ。

『悠一さん、母乳飲んでみた?』
いきなり妻が変なことを聞きました。
「え? 飲んでないよ! て言うか、普通飲まないでしょw」
『そっか……そうだよねw 奥さんに、飲ませたりした?』
妻は、何となく聞きづらそうな感じで聞きました。

「え? なにを?」
『わかってるくせに……アレだよ、アレ!』
可愛らしい仕草で言う妻。ファミレスっぽいコスチュームが、より彼女を幼く見せていますが、妻はもう40歳です。きっと、20年前付き合っていた元カレと、その時のバイトのコスチュームを着て会っているので、気持ちがその頃に戻っているのだと思います。言葉づかいも、普段とは違う感じです。

「何回かは……ゴメン。真希は?」
『ないよ! 悠一さんだけだよ! でも、約束忘れてるみたいだから、さっそく旦那の飲んじゃうねw』
「うあぁ……やっぱり覚えてた? ゴメンナなさい!」
『忘れるわけないじゃんw 忘れられないよ……悠一さんとのことは全部……』
妻の目は、懐かしさと愛しさと、色々な暖かい感情にあふれているようでした。

「だって、結構忘れてるって書いてたじゃん!」
元カレがそんな事を言いました。確かに、妻は彼とのSNSのメッセージボードを使ったやりとりでは、元カレが覚えていることでも、彼女は忘れたりしているような風に書いていました。

『ウソだよ。全部覚えてたよ。私も覚えてるって書いたら、悠一さん暴走してたでしょ?』
「……そっか……。ありがとう。確かに、真希が俺と同じように覚えてるって書いてたら、俺、家族捨てて突っ走ってたと思う」
元カレは、絞り出すような声で言いました。
『そうでしょ〜w 悠一さんの事は、私が一番わかってるんだから!』
妻は、嬉しそうに言います。

「だったら、俺達——」
『ダメっ! それは言っちゃダメなヤツw 決めたでしょ? でも、心は一緒だから。20年待ったんだから、あと20年や30年待てるでしょ?』
妻は、イタズラっぽく言いますが、顔は真剣でした。
「真希……」
急にカメラが揺らぎました。そして、ポンと放り投げられたのか、カメラは天井を映し出します。天井が映り続け、二人の声だけが聞こえてきます。

『悠一さん、もっと……いっぱいキス……20年出来なくても忘れないように、いっぱいして……んっ、んっ! あぁ、そう……愛してるっ! ずっとこうして欲しかったんだよ! んっ! んンッ!』
「真希! 愛してるっ! ずっとこうしたかった!」
二人の声は、震えているようでした。

音声だけというのが、かえって堪える感じでした。そのまま二人はキスを繰り返し、愛の言葉を言い続けます。
『ずっと忘れられなかった……。毎日思い出してた。どうして迎えに来てくれなかったの……』
泣き声で言う妻。私は、何も考えられませんでした……。
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[ 2015/06/24 13:18 ] 妻と元カレの運命の再会に | TB(-) | CM(-)

妻と元カレが運命的な再会をして……

妻とは、結婚してもう14年経ちます。二人とも今年40歳で、子供も二人います。中学2年生の息子と、小学6年生の娘がいて、二人とも私ではなく妻に似てくれて、美男美女です。
妻はぱっちりした二重まぶたで、日本人離れしたエキゾチックな顔の美人です。ハーフとかに間違えられることも多いですが、100%日本人です。

そんな妻と私なんかが付き合うようになったきっかけは、当時私がバイトしていた先の、同僚の女性の紹介でした。
当時、妻は付き合っていた男性に浮気をされて、その上捨てられてしまって酷く落ち込んでいたそうで、そんな妻を元気づけてあげてと、バイトの同僚の女性に紹介されました。

初めて妻に会ったとき、あまりの美しさに言葉を失いました。そして、私が彼女と付き合えるはずもないなとあきらめました。

なので、私は本当に、単に彼女を元気づけようと行動しました。一緒に遊びに行ったり食事をしたり、下心なく、ただ元気づけようと明るく振る舞いました。
そんな風に過ごしているうちに、いつの間にか恋人同士になれました。付き合い始めたばかりの頃は、元カレの影が色濃く感じられましたし、ため息をつく彼女を見ては、私も胸が痛かったです。忘れられないんだろうな……そう思うと、私は自分がとても無力に感じました。

でも、そんな影もどんどんなくなっていき、妻は明るさを取り戻していきました。そして数年後、何とか結婚までこぎ着けました。その頃には、もう元カレの影は完全に消えていました。そして、私もそんな事は気にもしなくなっていきました。
その元カレは、間違いなく私よりもいい男だったと思いますが、私が彼女と一緒にすごした長い時間が、私に力を与えてくれたのだと思います。

今は、私は独立して自営で仕事をしていて、妻には経理の仕事を自宅で手伝ってもらったりしています。仕事も何とか順調で、今年家を建てることも出来ました。

仕事で疲れて家に帰ると、庭からリビングの様子が見え、家族が楽しそうにリビングで集っているのを見ると、本当に心から幸せだと思えます。
『おっかえり~』
ドアを開けると、妻の元気な声が響きます。妻は昔から、黙っていると冷たい印象がしてしまうくらいに整った顔の美人でしたが、中身は本当に可愛らしい子供みたいな女性でした。
結婚して長いのに、いつも玄関に迎えに来てくれて、無邪気で屈託のない笑顔で迎えてくれます。
そして、少し遅れて子供達も、
『パパお帰りなさい!』
「お腹空いたよ! 早く食べようよっ!」
と、玄関まで来てくれます。

私は、疲れが溶けていくのを感じながら、私がこんなに幸せで良いのかな? と、自問してしまいます。あの時、彼氏に振られた直後で、自暴自棄になっていた彼女の弱みにつけ込んだだけだったのでは? 卑怯なやり方だったのでは? 私ではなく、他にもっと彼女を幸せに出来る男がいたのでは? そんなネガティブな気持ちを持ってしまいます。

私は、彼女を幸せにするため、彼女にふさわしい男になるため、全力を尽くしてきたつもりです。でも、幸せを感じれば感じるほど、どうしてもそんなネガティブな気持ちが出てきてしまいます。

そんな思いは押し隠し、楽しく食事を始めました。
『ママ、何かご機嫌だね。良い事あったの?』
娘が妻に聞きます。
『わかる? 良い事あったんだ~』
ご機嫌な様子で答える妻。確かに、今日はいつも以上に明るい気がしました。

「なにがあったの?」
息子も、興味がわいたようで聞きました。

『ないしょ~。でも、生きてて良かったわ』
ニコニコとしながら答える妻。

『なになに!? 教えてよぉ~!』
娘は、そんな風に食い下がります。
『えっとねぇ、長年喉に刺さってた魚の骨が取れたんだよ』
と、笑いながら答える妻。
「なんだよそれ」
『ちゃんと教えてよぉ!』
子供達に言われても、はぐらかす妻。でも、本当に楽しそうで、何があったのかはわかりませんでしたが、私まで嬉しい気持ちになりました。

でも、それは私が考えているようなことではありませんでした……。

それを知ったのは、本当に偶然でした。子供達と同じで、妻に起きた”良い事”が気になっていた私は、妻がSNSをやっていたことを思い出しました。
音楽グループのファンクラブ的なコミュニティに入るためにやっていたはずで、オフ会みたいなものにも何回か参加していたはずです。といっても、女性しか興味を持たないようなグループのコミュニティなので、変な心配はしていませんでした。実際、オフ会の時の写真も見せてもらいましたが、女性しか映っていませんでした。

私は、薄い記憶を手がかりに、彼女のアカウントページを探しました。そしてそれはすぐに見つかりました。そこにある日記みたいなものを読んでも、そのグループの活動のこと、曲の感想などしか書いてありませんでしたが、あのご機嫌だった日の書込みに、意味のわからないモノがありました。

”最後まで面倒を見てくれて、天国に見送ってくれてたこと、本当に、本当に感謝!”
一ミリも意味がわからない書込みでしたが、多分これがご機嫌の理由なんだなと思いました。そして、特に怪しい感じもしなかったので、ここで調べるのを止めました。
何となく、プライベートを覗き見るのは、夫婦であっても良くないなと思ったからですが、今思えば失敗でした……。時間を戻せるのなら、この時に戻したいです。


そして、日々は何も変わらず流れていきました。でも、私にもう少し注意力があれば、妻の変化に気付くことが出来ていたのかもしれません。妻は、ダイエットして体重を落としたり、適当な安い美容室から、子供が出来る前に行っていたようなオシャレな美容室に変えたりしていました。
元々が充分に綺麗な妻なので、そんな変化に気がつけなかった私は、夫失格なのかもしれません。

あのSNSを調べた日から、数ヶ月経ったある日の日曜日、
『ママ、綺麗になったね。髪もツヤツヤになった!』
と、娘が言いました。
『そう? もともと綺麗でしょ?』
と、笑いながら言う妻。
「ホントだ。何か、肌も若返った? て言うか、痩せたでしょ!」
と、息子も言いました。

この言葉で、私は妻の変化に気がつきました。
「本当だね。どうしたの?」
私は、気の利いた言葉も言えず、そんな事しか言えませんでした。
『今さら? パパも綺麗な私の方が良いでしょ? 頑張ったんだから!』
と、少しすねたような顔で言いました。でも、そんな表情も可愛いと思いました。
そして、その夜は、本当に久しぶりに妻と愛し合いました。と言っても、子供が二人もいるので、声を殺しながら、音も立てないように気をつけながらの行為で、ムードも何もなかったですが、
「真希、愛してる、愛してる」
と、何度も小声で言いながら、静かに愛し合いました。

終わった後、妻は抱きついて甘えてきました。もともと甘えん坊の妻ですが、ここ1年以上……下手したら2年近くセックスをしていなかったので、こんな風にイチャイチャするのも2年ぶりだったのかもしれません。

そっと髪を撫でると、妻は気持ちよさそうに目を閉じ、キスをせがんできました。私は、やっぱりたまには二人の時間を作らなければなと、深く反省しました。
しばらく抱き合っていましたが、何となく妻の様子が変で、顔を見て見ると目の端に涙みたいなものが見えました。私は、
「ど、どうしたの? 何か、痛かった?」
と、慌てて聞きました。
『うぅん……。なんか、幸せだなぁって……。パパ、愛してる……愛してる!』
と言って、キスをしてくれました。でも、何となく、妻は自分に言い聞かせるようにそんな事を言った気がして、私はドキドキしてしまいました。もしかして、誰か好きな人でも出来てしまったのでは? そんな不安にさいなまれました。

でも、それは一瞬で終わり、妻はすぐにいつもの明るい笑顔に戻りました。そして、その日はそのまま抱き合って寝ました。真夜中にふと目が覚めると、妻が泣いていました。声を殺すように泣いていて、私はどうして良いのかわからず、そのまま寝たふりをしてしまいました。涙の理由にまったく心当たりがなく、私は何かとんでもない事が起きているのではないかと、不安な気持ちでいっぱいになりました。

声をかけようか迷っていると、妻が私に抱きついてきました。私が寝ていると思っているみたいで、起こさないようにそっと抱きついてくる妻。
『愛してる……』
小さな声で言う妻に、私は少しだけホッとしました。そして、気がつくと私は寝ていました。

朝起きると、いつも通りの良い匂いに包まれます。ベッドから抜け出し、キッチンに行くと、エプロンを着けた妻が朝食を準備していました。
『パパ、おはよっ! 昨日はありがとう♡ 愛してる♡』
そう言って、私の頬にキスをしてくれました。昨日の夜の不安が、一気に消えました。ただの思い過ごし……。そう思えました。

でも、妻の明るい顔に、時折影が差すように思えてしまいました。
不安が高まってしまった私は、とうとう妻のパソコンを調べてしまいました。

私は、朝家を出て会社に行った後、タイミングを見計らって家に戻りました。この日は、午前中は妻は銀行に行ったり、郵便局に行ったりしているので、チャンスでした。

私はすぐに彼女のノートパソコンを立ち上げ、SNSのアカウントにログインして中身を見て見ようと思ったのですが、それはあっさりと出来ました。妻のノートパソコンにはパスワードの設定もなく、ブラウザを立ち上げると、ブックマークにSNSの管理画面の登録もありました。
クリックすると、自動ログインであっさりとログインできてしまいました。まるっきり無警戒で、私が調べることなど考えてもいないのだろうなと思いました。
そして、そんな風に私を信頼してくれているのに、こんな風に覗き見るのは許されるのだろうか? そんな風に思ってしまいました。

でも、結局私は心配と不安に勝てず、彼女のアカウントの中身を見始めました。

それは、想像以上の悪いものでした。
SNSの会員同士がメッセージのやりとりを出来る機能があり、その中を見ると、妻は元カレとメッセージのやりとりをしていました。
“昨日は、本当に夢のような時間だったよ。まさか、もう一度真希ちゃんに会えて、抱きしめることが出来るなんて、嬉しすぎて泣きそうでした(^^) 
俺、やっぱり真希ちゃんのこと好きだわ……。こんな事言っちゃダメってわかってるけど、あの頃とまったく気持ち変わってなかった!
困らせるつもりはないけど、どうしても言いたかった。ゴメンね。忘れて下さい<(_ _)>じゃあ、またメッセージ待ってるね!”
いきなりこんなメッセージを見たとき、私は倒れそうでした。会って抱きしめた? 昨日の妻の様子がおかしかったのは、このせいだったんだ……。そう思うと、私はパニックになりました。そして、パニクりながらも、二人のやりとりした一番最初のメッセージを探しました。

“お久しぶりです。高橋です。高橋悠一です。偶然、あの人知りませんかの掲示板を見つけ、読みました。迷いましたが、メッセージさせてもらいます。
あの時は、本当にゴメンなさい。ずっと謝りたいと思っていました。あの時の俺は、本当にバカでした。
俺も、あの時が一番楽しい時間でした。ウソでもなんでもなく、毎日あの時のことを思いだしていました。
そして、真希ちゃんが何をしているのかな? 幸せになっているのかな? と、ずっとずっと気にしていました。
ブログを見て、結婚して子供もいることを知り、本当にホッとして安心しました。俺も、結婚して子供が二人います。今は、実家に帰って家業を継いでいます。俺は、元気で幸せに過ごしています。
気にしてくれて、本当にありがとう。あの書込みを見て、涙が止まりませんでした。
でも、こんな風にまた真希ちゃんと繋がりを持てて、こうして謝ることが出来て、本当に胸のつかえが取れた思いです。ありがとう。あの時の日々は、一生忘れません。真希ちゃんも、幸せに暮らして下さい。

ちなみに、タマちゃんはあれから5年後に、天国に行きました。最後に真希ちゃんに会わせてあげられなかったのが、心残りです”
こんなメッセージが最初でした。そしてこのメッセージは、何ヶ月も前のものでした。思い返せば、妻がハイテンションでご機嫌だった日のような気がします。喉の魚の骨が取れた……。そんな事を言っていた日だと思います。

私は、すぐに妻の返信を見ました。
“メッセージしようかどうか迷ったけど、メッセージします! 本当にビックリしました! まさか本人からメッセージ来るなんてねw 20年、あっという間だったね。
でも、良く見つけられたね! このSNSやってたの? それとも、誰か探してたのかな?w
私も結婚して今は二人の子供がいます。すっごく幸せな毎日だよ。心配してくれてありがとう! でもね、あの頃は本当に一番楽しかったよ! ずっとそれが続くと思ってたんだけどなぁ〜 まさか裏切られるとは……
今は実家にいるんだね。私は名古屋にいるよ。悠一さん←この言い方、すっごく懐かしいw も、幸せなんだね。本当に良かったよ。

ずっと忘れずにいてくれてありがとう。私も、ずっと忘れられずにいたよ。なんか、嫌なこともケンカしたこともあったのに、悪いことは全部忘れちゃったw 浮気されたこともねw 楽しかった日々だけが、ずっと私の胸にいます。

タマちゃんのことは、本当にありがとう。悠一さんと別れるよりも、辛かったかもw でも、天国に見送ってくれたんだね。本当に、感謝します。
もしも、イヤじゃなかったら、またメッセージください。
20年前に浮気されて捨てられた真希よりw”
私はそのメッセージを見て、全身から力が抜けていきました。もう、すっかりと忘れていたと思ったのに、妻は忘れていなかったんだ……。
そう思うと、私は足元の平和な世界が壊れていくように感じました。このメッセージだけでは、ただ過去を懐かしんでいるだけに思えます。でも、妻はこの前元カレに会ってしまった……。

私は、メッセージをヒントに、妻の書き込みを探しました。それはあっけなく見つかりました。
あの人知りませんかの掲示板には、妻の書き込みがありました。
“20年くらい前、エルトリート名大前店でバイトしているときに知り合った悠一さん。
バイトが終わった後、よく明け方までドライブに行ったりしてましたね。1年半くらい付き合って、同棲もしてました。
別れの時は、私が裏切られたみたいな形でとても悲しかったですが、私にとっては一番楽しい時間だったので、今頃どうしているんだろうと思い出しています。
実家に帰ったのかな? それともまだ東京にいるのかな?
何か知っているという方、連絡ください!”
こんな未練たっぷりの書き込みでした。
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[ 2015/05/16 17:36 ] 妻と元カレの運命の再会に | TB(-) | CM(-)
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